本年度の科学研究費の交付により、以下の成果を得た。 (1)器官培養された精巣断片内での精子形成に対する各種ホルモンの影響:培養液中にhCG、FSH、テストステロン、エストラジオール-17β、11ーケトテストステロンの5種類のホルモンをそれぞれ単独に添加し、精子形成に与える影響について調べた。その結果、(] SY.encircled1. [)精原細胞の増殖にはhCG、FSH、エスラジオール-17βが有効であり、(] SY.encircled2. [)精原細胞あるいは精母細胞から精細胞への分化には、11ーケトテストステロンが有効に作用することが示された。しかしながら、BrdUを取り込んだ精子を観察することはできなかった。 (2)抗プロタミン抗体の作成:AUT-PAGEによるプロタミン分析を行い、Sp-2および6を同定できた。そこで、アセテートメンブレンに転写した後に、そのバンドに相当する部分を切りだし、DMSOで可溶化してウサギに連続的に注射した。その結果、Sp-6と沈降反応を行う抗体を得ることができた。 (3)cDNAライブラリーの作成:AGPC法によりRNAを調整し、純どの高いtotal RNAがえられた。次に、Oligotex-dT30を用いてpoly(A)^+mRNAを調整し、3μgのpoly(A)^+mRNAが得られた。そこで、0.3μgのmRNAを使用してcDNAを合成し、lambdagt11にインヴィトロパッケジングを行った結果、98.6%の効率でインサートに成功した。cDNAライブラリーを増幅し、我々の作成した抗プロタミンポリクローナル抗体を用いてスクリーニングを行った結果、シグナルを示す2個のクローンを得ることができた。現在、このクローンを用い、遺伝子の解析を進めているところである。
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