研究概要 |
プリデライトAx(M,Ti)_8O_<16>は、一次元トンネル構造をもつホランダイト型化合物に属する。トンネル内の席すなわち八面体席Aをカリウムイオンが占めるものは超イオン伝導をすることが知られている。A席を占める陽イオンは単位格子あたり2つ存在し、その席を占める割合x/2を充てん率とよぶ。この陽イオンの配置は一般にインコメンシュレイトな長周期を示す。このカリウムプリデライトのうちKx(Al,Ti)_8O_<16>の生成領域を明らかにし、析出条件を検討した。固相ではx=1.47ー1.80の領域で生成するのに対して、融体から得られた単結晶はx=1.5組成近傍に限られることを明らかにした。また、融体からの徐冷によりKx(Al,Ti)_8O_<16>単結晶を合成し、キャラクタリゼ-ション及び構造解析を行った。この結晶のトンネル内の陽イオンの分布状態を明らかにし、充填率と長周期の関係を明らかにした。 設備備品費で申請した小型単結晶引上装置と同等の機能をもつ既存の引上装置が利用できるようになったので、高周波加熱用発振機に変更した。小型単結晶引上装置にこの高周波加熱炉を組み込み装置を完成した。当初、温度測定に関して誘導により熱電対そのものが発熱して測定不可能になると思わせたが、熱電対の使用が可能であった。3KWの発振機を用い、発熱体は白金ルツボそのものを用い、断熱材はセラミックスボ-ドを用いた。1600℃まで容易に昇温可能であった。この装置を用いて、KーAlープリデライト[Kx(Al,Ti)_8O_<16>]の大型単結晶育成条件を検討中である。
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