上記の研究課題による研究は平成3年度から平成5年度までの研究で、本年度は下記の研究を行った。 1.熱応力の焦点化現象の円柱に於ける基礎理論の確立 (1)円柱の断面全体が一様に加熱される事により生ずる熱応力波の伝播を、波線級数法を用いて解析した。上記の波線級数法は、著者により開発された。この解法により、円柱の焦点化現象の特異性を明確にし、その研究成果を平成5年3月第70期日本機械学会総会講演会で発表する。 (2)円柱の熱応力波の焦点化現象と物理的に等価と見なされる、衝撃的な除荷により円柱に生ずる応力波の焦点化現象を解析し、その特異性が O(r^<-2>)であり、球体の熱応力波の焦点化現象の特異性と一致する事を明らかにし、その研究成果は、平成4年9月の日本機械学会論文集に掲載された。 2.熱応力の焦点化現象の球体における基礎理論の確立 直交異方性球体が急激に加熱される際に、発生する熱応力波により焦点化現象が生ずる。この現象を波線法を用いて厳密に解析した。そして、熱応力波の焦点化現象が直交異方性球体の場合、中心ではなく、中心近傍で生ずるかを解明した。その研究成果を平成4年11月に行われた国際会議で発表した。 3.実験的検証について 実験的検証として、セラミックス試片の中心部にAEセンサーを置き、この試片に急激な熱衝撃を加えて、各部で発生する信号波形を検出し、熱応力波による焦点化現象を捕捉する装置を製作中である。 以上により、平成4年度の申請内容は、ほぼ、達成される見通しとなり有益な研究結果が得られた。
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