上記の研究課題による研究は平成3年度から平成5年度までの研究で、本年度は下記の研究を行った。 1.熱応力の焦点化現象の球体及び円柱に於ける基礎理論の確立 (1)球体の断面全体が一様に加熱される事により生ずる熱応力波の伝播を、波線法を用いて熱伝導方程式を厳密に解析し求めた。さらに、瞬間点熱源による球体に於ける熱応力波の焦点化現象を解析し、平成5年11月日本機械学会材料力学部門講演会で発表した。これらの研究成果により球体の焦点化現象と、その波の収束性が明確となった。 (2)円柱の熱応力波の焦点化現象の特異性がO(r^<-2>)である事を、波線級数法を用いて厳密に求め、その物理的な意味を明確にした。その研究成果は、平成5年12月の日本機械学会論文集に掲載された。 2.熱応力の焦点化現象の異方性球体における解析方法の確立 (1)直交異方性球体の断面全体が一様に加熱される事により生ずる熱応力波の伝播を、波線法を用いて解析した。そして、熱応力波の焦点化現象が直交異方性球体の場合の焦点化現象の特異性のオーダーを求め、これが異方性のパラメターの関数になっている事を解明した。その研究成果は、1993年11月International Journal of Solids and Structures誌に掲載された。 (2)焦点化現象を、全般的に解説した研究も本年度行い、その研究成果を平成5年11月日本機械学会材料力学部門講演会で発表した。 以上により、平成5年度の申請内容は、ほぼ、達成される見通しとなり有益な研究結果が得られた。
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