研究課題/領域番号 |
03805020
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
島 公脩 北海道大学, 工学部, 教授 (10029457)
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研究分担者 |
山下 裕 北海道大学, 工学部, 助手 (90210426)
石動 善久 北海道大学, 工学部, 助教授 (00109480)
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キーワード | 制御径路積分 / 出力可制御性 / 一般化Legendre-Clebsch条件 / 余接バンドル上のシステム / ハミルトン制御系 / 等価性 / Berryの位相 / Non-dissipative control |
研究概要 |
平成4年度の研究は、いくつかの、関連しながらも異なる方向に進んだ。まず、径路積分そのものの性質の研究については、径路積分により表現された出力が入力により可制御となるための必要十分条件を変分の方法により丁寧に導出した。その条件は、一連の強可到達性を表わすベクトル場に沿っての、微分形式ωのリイ微分により表現されていて、ω=dhと完全微分である場合には従来の条件と一致し、ωが完全微分でない場合にも適用可能である。この変分の方法はInvariance(不変性)の条件を導くのにも用いられ、あわせて種々の設計条件を導くのに有用なのであるが、一般化Legendre-Clebschの条件のうちの等式条件を用いると不変性の条件の導出過程が少し簡単になることがわかった。この等式条件は、ある微分形式が閉形式つまりdω=0となることと同値であり、30年間研究の続いているあの難解な特異制御問題に再び取組まざるを得ないことは憂鬱でもある。 つぎに、径路積分を用いることは、系の表現形式として余接バンドルおよびハミルトン形式を用いることにほぼ等しく、その試みを行なったが活用の方向として上記以外の用い方が難しい。しかしながら、余接バンドルの持つsymplectic構造およびHamiltonベクトル場などの概念は制御系の安定性の研究に用いることができるのであり、Hamilton制御系の概念をより精密にし、等価性および標準形に関するいくつかの定理を導出した。さらにファイバー上での積分不可能な出力の例としてBerryの位相を取り上げ、その制御問題を研究した。その結果、出力を表現する微分形式が完全微分でない場合には、完全形の場合と異なる解析が必要であることがわかった。また、Non-dissipative controlの概念を提案し、cascadeシステムにおいて可解条件を与えた。さらに、非線形出力レギュレーションの近似、非線形almostモデル追従制御など近似的設計法の研究を行なった。
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