研究概要 |
ベクトル場X=X_0+X_1u^1+…X_mu^mにより系の状態の多様体M上での挙動は表現され、制御入力u=(u^1,…,u^m)をある時間区間[t_0,t_1]において与えれば、系の状態の軌道は定まる。その軌道にそって、微分形式ωが取る値ω(X)を積分すると、この積分は系の出力、リヤプノフ関数、最適制御の評価関数を表現できる。この積分を制御径路積分あるいは略して径路積分と名づける。制御理論は径路積分の性質を研究し設計法を導き出す理論である。 まず、この設定を時変的非線形系に拡張し、径路積分に部分積分公式を適用して、入出力関係の多項式表現を導き、積分順序の交換公式を用いて制御径路に沿ったFliess型表現および解析性の仮定のもとでFliessの関数項級数展開公式、Volterra級数型表現を導いた。多項式表現より制御径路に沿った設計条件を導出できる。 つぎに、径路積分の出力可制御性の必要十分条件を導出した。その条件は強可到達性を表わす一連のベクトル場に沿っての微分形式ωのリイ微分により表現され、ωが完全微分ならば従来の条件と一致する。また、一般化Legendre-Clebschの条件の等式条件を用いると不変性の条件の導出が簡単になることがわかった。この等式条件はある微分形式が閉形式であることと同値である。経路積分を用いることは、系を余接バンドルとハミルトン形式を用いて表現することにほぼ等しく、余接バンドルの持つsymplectic構造およびHamiltonベクトル場の概念は制御系の安定性の研究に用い、Hamilton制御系の概念をより精密にし、等価性および標準形に関する幾つかの定理を導いた。ファィバー上での積分不可欠な出力としてBerryの位相の制御問題を研究し、完全形の場合と異なる解析が必要であることを示し、Non-dissipative controlの概念を提案し、cascade系での可解条件を与え、非線形出力レギュレーションの近似、非線形almostモデル追従制御など近似的設計法の研究を行なった。
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