本研究は単一の光導波路だけで電界の測定を行う新しい方式を提案し、実際にポッケルス結晶上の最適光導波路(μmオ-ダ)を設計した上で薄膜センサを試作することを目的としている。本年度の成果を以下にまとめる。 1)光導波路内を伝搬する光の電磁界分布を数値解析により求め、導波路寸法と透過電磁波モ-ドとの関係を明らかにした。 2)単一の導波路内に2つのモ-ドだけが伝搬し、なおかつその2つのモ-ド間の位相差で印加電界が測定できる導波路の条件を求めた。 3)予備的な実験の結果、市販のzーcutのLiNbO_3ポッケルス結晶を用いてx軸方向に光を伝搬させる方式では測定感度の安定性の点で問題が残ることが明らかになった。 4)3)の問題点を解決するために、新たにyーcutのLiNbO_3結晶を用いてz軸方向に伝搬させる方式を提案した。 5)yーcutのLiNbO_3結晶を購入し、導波路寸法の解析を行った上で、それに基づき結晶表面上にTi等を拡散しμmオ-ダの導波路を作成した。 6)コヒ-レント光源、偏波面保存光ファイバ、光導波路付きポッケルス結晶基板、受光部からなる薄膜ポッケルス素子電界測定システムを組み上げ中である。 7)コヒ-レント光源としては1.3μm波長のLED安定化光源を用いている。防振台とファイバ光学系位置調整システムを用いて、ファイバと光導波路をμmオ-ダの精度で結合する作業等を行っている。
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