ポッケルス素子電界センサの優れた特徴を更に発展させるためにセンサ部の小型化及びそれに伴う測定位置分解能の向上が必要である。こうした要請に応えるものとして光集積回路技術を応用した光導波路型電界センサが注目されている。本研究では単一の光導波路だけで電界の測定を行う新しい方式を提案し、実際にポッケルス結晶上の最適光導波路(μmオーダ)を設計した上で薄膜センサを試作することに成功した。また、光導波路基板としてよく利用されるLiNbO_3結晶において、y-cut結晶のz軸方向に光を伝搬させる方式が、本センサの性能改善に極めて有用であることを証明した。主な成果を以下にまとめる。 1.単一導波路及びy-cut・z伝搬という新しい2つの方式を採用した電界センサについて、センサ設計のための光導波路の数値解析手法を完成させた。 2.それに基づきセンサの設計を行った。その際、センサの感度及び出力の線形性を決定する動作点の調整が光導波路長の調整によって簡単に行えることを理論的に予測し、それを利用した。 3.最終目的である単一光導波路方式による薄膜ポッケルス素子電界センサを試作した。センサシステムの構成は、幅7μm、深さ3μm、長さ4.39mmの導波路を持つLiNbO_3ポッケルス結晶、波長1.31μm、の半導体レーザ光源、薄膜偏光子、光ファイバー、及び光検出器という、極めて簡便なものになっている。 4.電界センサシステムの測定感度、応答時間等に関する特性試験を行い、応答の線形性、雷インパルス程度までの周波数応答性の良さについて確認がなされた。また、従来型センサで問題となった出力の周囲温度による変化も、大幅に改善されたことも確認できた。
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