1.光リモートセンシング手法に関する研究成果 (1)平成3年度 マルチスペクトロラジオメータを基本とする可搬式高精密分光記録装置(雷パラメータリモートセンシングシステム)とディジタルオシロスコープを併用して、実験室における気中インパルスの分光特性を種々の波長領域で測定するシステムを構築した。 (2)平成4年度 可搬式高精密分光記録装置(雷パラメータリモートセンシングシステム)とディジタルオシロスコープを併用して、実験室における気中インパルスの分光特性を種々の波長領域で測定した。温度、電流など雷放電パラメータの基礎分光計測のために、気中裁断波放電の光出力時間応答を求めた。高温空気理論では最大発光強度は422.3nm(NI)で15600K、434.0nm(Hγ)で16500Kに対応する。インパルス電流と光出力との関係はまだ十分明らかになっていないが、441nmの場合は波頭部のへこみが大きく、434nmの場合は電流波形類似のパルス出力となることが判明した。 (3)平成5年度 実験室において長ギャップに雷インパルスを印加し、放電光の波長別時間応答を測定した。以前報告した441nmにおける波頭のへこみが今回の試験ではみられなかったが、これは電波流形の波頭振動がなくなったことに起因すると考えられた。 2.雷パラメータの解明に関する研究成果 (1)ロケット誘雷実験 誘雷時の雷電流計測用として、開発使用してきた雷電流2領域同時記録システムで得られた冬季正極性雷電流を詳細に検討し、鉄塔を通過する冬季雷電流の波形解析を周波数のフーリエ変換の手法を用いて時間区分して検討を加えた。ロケット誘雷時の雷放電電流および雷電圧測定用として、開発してきた雷計測3領域光LANシステムをZnO避雷器素子の基礎特性計測に適用して所期の結果が得られた。さらに、本システムとロゴスキーコイルを用いた別の計測システムで測定した電流波形の相異について検討したが、非常に良い一致を示すことが判明した。 (2)変電所侵入雷電流・電圧波形の解析 77kV系統の変電所侵入夏季雷に対する変電所避雷器の動特性を検討して、系統保護レベルの低減と避雷器性能の向上に寄与する所見を述べた。さらに、今までに得られた誘雷時の雷電流波形や77kV変電所侵入雷電流波形を検討して、雷放電回路の概念構成や雷サージ侵入キャパシタンスなどについて考察を加え、侵入雷サージのパターンを検討して、送電線故障様相と変電所侵入雷電圧波形とを比較するとともに、変圧器中性点電位上昇について考察した。
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