研究概要 |
最近、オプトエレクトメニクス分野の進展がめざましく、高機能、高密度集積光メモリに用いるための小型軽量で長寿命の高輝度グリ-ンないしブル-光源が強く要求されている。この目的のために有望な非線形光学結晶として変換効率の高い有機結晶DNA〔4ー(N,N'ージメチルアミノ)ー3ーアセトアミノニトロベンザン〕のレ-ザ-グレ-どの良質大型結晶(2〜3cm級)育成技術開発を行なった。開発の手順は以下の通りである。(1)DNA原料の合成および昇華法による精製,(2)アセトン溶媒を用いた結晶育成槽の作製,(3)温度30℃における蒸発法による結晶育成,(4)Na:YAGレ-ザ-を用いた高調波発生による結晶の評価。2週間の育成の結果、約3cm×2cmの黄色透明な結晶を得ることができた。ビッカ-ス硬度は約10ー15程度で通常のファンデルワ-ル結合の低分子材料とほぼ同じであった。カツトオフ波長は約490nm程度であった。育成できた結晶を切断、研磨しQスイッチNa:YAGレ-ザ-を用い二倍高調波発生効率を測定、無機のKTP結晶と比較したところ約2倍の変換効率が得られた。実効非線形光学定数にすると約10pm/V位の値で低パワ-レ-ザ-の波長変換に用いることができることが分った。しかし育成したサンプルにより、この値はかなりパラツキを示した。目視観測では、一見透明で脈理がなく良好と思われる結晶でもサンプル毎に二倍高調波発生に差があった。この原因として材料合成の段階でDAN以外の他の有機物が不純物として混入し、これにより結晶の純度が低下することが最も大きな理由を考えられる。結晶材料の精製は一度行なっただけであった。2〜3回以上精製を行なえば、純度は99%以上となりバラツキのない結晶が得られると思われる。
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