研究概要 |
本研究の目的は,土質柱状図の客観的なモデル化手法を開発し,そのモデルに基づいて地盤堆積構造の類似性あるいは複雑さを評価することである.そのための方法として今年度実施計画は,(1)土質柱状図や地盤断面図の収集,(2)地盤モデル作成手法の開発とプログラムの作成,(3)実地盤の特性とモデル地盤の特性量との比較の3点であった.この各項目に関して今年度の実績をまとめると,以下のようになる. 1.土質柱状図や地盤断面図の収集 建設省が作成した濃尾平野の土質柱状図集(主に,沖積平野を対象)土質工学会中部支部が編集・発行した「最新名古屋地盤図」,名古屋地域地質断面図集」「最新名古屋地盤図」資料編デ-タベ-スを入手した.更に,洪積地盤上の比較的狭い地域で詳細な地盤調査が行われた報告書も入手し,これらの資料を解析対象とした. 2.地盤モデルの作成手法の開発とプログラムの作成 状態空間(土質区分)とパラメ-タ空間(深度)を設定すれば,土質柱状図が一意的にモデル化できる手法を開発し,そのプログラムを作成した.更に,マルコフ連鎖の理論に基づいた種々の特性量を計算し図化するプログラムも開発した. 3.実地盤の特性とモデル地盤の特性量との比較 比較の結果,モデル柱状図が実際の柱状図の特性を表現し得ることがわかり,土質柱状図に対してマルコフ連鎖が適用できることが明らかになった.そこで現在,モデルの類似性評価を試みている.これらの結果は,土木学会ならびに土質工学会に報告している.
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