河川工学においては、河床や側岸の粗度が急変する流れが重要となることが多い。河床勾配が大きい河川では流れによる洗掘のために起こる河床低下を防止するために、河床にコンクリート張りやアスファルト張りの床止めや床固めを施工することが多い。また、河川の側壁に護岸工を施す場合でも、護岸工と護岸工との境界部で壁面粗度が急変することが多い。このような流れでは、河床あるいは側岸は滑面から粗面へ、また逆に粗面から滑面へと急変し、粗度急変点から内部境界層が発達し、一様な流れに比べてはるかに複雑な乱流構造をもっているが、不明な点が多い。 滑面から粗面への粗度急変流れおいて、水工学上重要な壁面せん断応力がオーバーシュートするという特性を世界で初めて見い出した。これらの研究成果は、1991年に開催された第24回国際水理学会マドリッド大会で発表し、国際的に高い評価を得ている。 これらの成果に基づいて、さらに、粗度急変流れにおけるバースト現象の解明に挑んだ世界でも多分最初の研究例である。バースト周期の外部変数・内部変数の依存特性が検討された。この萌芽的ではあるが学術上きわめて重要な研究成果は、1993年9月パリで開催される第5回「乱流計測とモデリンク」に関する国際会議で発表する。
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