研究概要 |
本年度は六甲山系横尾地区の花崗岩切り取り斜面に施工された3本の水平排水ボーリング孔(1,2,4)からの湧水流量観測および水質分析、ならびに当該切り取り斜面上部の自然斜面よりなる小流域(10)(0.3ha)の流出観測および水質分析、当該小流域内での5本(A,B,C,D,E)の孔内水位観測および水質分析、6本(OK-1,OK-2,OK-3,OK-4-1,OK-4-2,OK-5)の孔内の地中炭酸ガスの測定ならびに当該小流域内での湧水(10G)の水質分析を行うことにより、地表水と地下水の分類を行った。 今回の観測では採水時の形態で分類すれば、水平ボーリング孔(1,2,4)、孔内水(A〜E)、湧水(10G)はいずれも地下水型、流出水(10)は表流水型である。しかし分類の結果、湧水(10G)は表流水型、表流水(10)は地下水型となることが判明した。湧水(10G)は不透水層である基岩が存在しているため表土層内の水が水滴状に落下しているものを1週間かけて採水した。このため形態的には地下水と判断していたが、HCO_3^-とpHのバラツキは採水前1週間の総降雨量とよく対応しバラツキの原因が雨水であることが明らかになった。またバラツキ時にはHCO_3^-濃度の増加も見られ、かつての押し出し流の傾向も示した。一方、表流水(10)が地下水型となったのは、この地点は水系の源流部に相当するため地下水の浸出水をそのまま採水していたものと思われる。このように形態的な地下水・地中水の分類は信頼度が劣り、そのためには本研究のような手法が必要と思われる。また表流水(10)での豪雨直後の測定結果は、測点が表流水型へ移動していることが確認でき、豪雨時に詳細な採水を行うことにより地表水・地下水の流出成分分離も可能となることが明らかになった。
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