本年度の研究を推進するにあたって行った実験と研究成果を要約すると以下のようになる。 (1)超高強度、高強度および普通強度コンクリ-トの火害劣化特性を調べ、コンクリ-トの強度種類による劣化程度の特徴があるかどうかについて検討した。その結果、普通強度コンクリ-トではみられない特徴として、高強度火害コンクリ-トは加熱温度が100℃〜300℃の範囲であれば耐力は減少することなく、むしろ加熱を受けないコンクリ-トより増大する。 (2)火害コンクリ-トの劣化程度の指標としての残存強度とマイクロ波特性のうち位相定数との間には良い相関性があり、高強度、超高強度を問わず、劣化診断にはマイクロ波特性として位相定数を用いることができる。 (3)火害コンクリ-トの劣化層の深さは、マイクロ波反射波のうち、反射波の到達距離から求めることができる。 (4)火害コンクリ-トの劣化程度を求める方法は、コンクリ-トの表面反射波、劣化部と健全部との境界で反射する反射波、健全部コンクリ-トの表面反射波の3つの反射波を測定することにより比誘電率を求め、屈折率と位相定数を算出し、位相定数と圧縮強度の関係から劣化程度を求めることができる。
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