研究課題/領域番号 |
03805061
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研究機関 | 高岡短期大学 |
研究代表者 |
麻生 三郎 高岡短期大学, 産業工芸学科, 教授 (80175877)
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研究分担者 |
石井 克己 高岡短期大学, 産業工芸学科, 助教授 (20193245)
三船 温尚 高岡短期大学, 産業工芸学科, 助教授 (20181969)
中村 滝雄 高岡短期大学, 産業工芸学科, 助教授 (60198215)
横田 勝 高岡短期大学, 産業工芸学科, 教授 (10029225)
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キーワード | 美術用スズ青銅 / 鋳造 / 冷却速度 / 顕微鏡組織 / 表面加飾 / 中国古代青銅器 / 金文概形 / 埋け込み法 |
研究概要 |
本年度の研究内容は、(イ)日本における伝統的鋳金技法の源流ともなった古代中国における青銅鋳物古美術品を白鶴美術館(兵庫)ならびに泉屋博古館(京都)にて調査し、今回は特に金文の技術的検討を行なった。(ロ)伝統技法のうち、鋳金に関して工学的な立場から、美術鋳物を作製する際の冷却速度と鉛の偏析・着色効果の関係を検討した。得られた主な結果を要約すると次の通りである。 (イ)について、 中国古代(商、周)青銅器に施された金文は、現在の埋け込み法に類似した方法を用い、鋳造による鋳出しであることが確定した。この埋け込み型は、ほとんどが短形で、埋め込み作業に耐え得る強度を備えた形状が配慮されている。今後、埋け込み型製作方法の研究を継続するにあたり、この調査で発見した、文字奥広がりの件、文字縁返りの件、文字一部他より深い件、文字奥一部に指紋状の跡が残る件、文字奥角が丸や直角である件などに関して、我々鋳金家独自の推論を試みる考えである。 (ロ)について、 (1)冷却速度に関係なく合金成分のうち、亜鉛及びスズの均一に分布する。 (2)冷却速度が大きい場合には鋳造した合金中で結晶粒成長は抑制される。ここで、鉛は粒界に沿って細かく分散し、鉛の晶出形態は鋭角的であった。一方、冷却速度が小さい場合には、結晶粒成長は平衡状態図にしたがって粗大化し、鉛は結晶粒界の三角点に大きく、かつ丸みを帯びた状態で晶出した。 (3)加熱温度が約900℃以上では主として亜鉛および鉛の蒸発による大気中への散逸が大きく、溶解時にこれら蒸気圧の高い金属の重量減少が著しかった。 鉛の偏析状態と着色効果に関する研究は現在進行中である。
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