研究概要 |
コンクリ-トは極めて優れた構造用材料であるが、引張り、曲げ強度や靭性に乏しいなど、構造用としては宿命的な欠点を持っている。近年、この欠点を克服する手段として、各種の繊維を配合した繊維強化コンクリ-ト(FRC)が開発された。今回は、FRCの強度に及ぼす繊維の量、形状の影響を明らかにする目的で、長さ、直径、形状の異なる8種類のステンレス鋼繊維を配合したコンクリ-トの曲げ破壊挙動を実験した。 モルタル原料としてはジェットセメントと5号珪砂を用い、S/C=1.,W/C=0.5とし、これら減水剤と遅延剤を加えた。鋼繊維としては、SUS430鋼をメルトエクストラクション法により製造したもので、直径0.3〜0.6mm,長さ10〜35mmであり、その中4種は両端に滑り止めをつけたドッグボ-ン型である。 試験片の大きさは40×40×160mmであり、下部支達距離100mm,上部支点距離30mmの4点曲げ試験を行った。材齢は約28日である。 曲げ試験の結果を要約すれば次の通りである。 (1)繊維長が15mm以上の場合、繊維配合比が多い程、アスペクト比が大きい程曲げ破断強度も靭性も顕著に増加する。 (2)ストレ-ト型の繊維よりドッグボ-ン型の方が曲げ破断強度も靭性も大きい。 (3)しかし繊維配合率が1〜3%と少ないとき、靭性は増加するが、曲げ破壊強度の向上効果はない。直径0.3mm,長さ10mmの繊維の場合は、9%添加しても強度の向上は認められない。今回の実験範囲では、直径0.6mm,長さ35mmの繊維を9%添加したもので最高120kg/cm^2の曲げ強度と高い最も高い靭性が得られた。
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