研究課題/領域番号 |
03805063
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安田 清和 大阪大学, 工学部, 助手 (00210253)
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研究分担者 |
藤本 公三 大阪大学, 工学部, 助教授 (70135664)
仲田 周次 大阪大学, 工学部, 教授 (90029075)
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キーワード | 極微細加工 / 極微細接合 / 走査型トンネル顕微鏡 / STM / 電界蒸発 / 表面加工 / シリコン |
研究概要 |
本研究では、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、大気中においてシリコン表面にバイアス電圧を印加することで、表面に強電界を誘起せしめ、電界蒸発や溶融に基づくナノメートルスケールの局所表面形状変化のメカニズムを解明することを目的とした。 まず、探針の曲率半径、表面状態、及びアスペクト比などに依存している走査トンネル顕微鏡の観察分解能及び加工再現性を向上させる目的で、電解研磨法によって、研磨電圧と曲率半径及びアスペクト比の関係を調ベた結果、直流40Vで探針先端の曲率半径が33±10nm、アスペクト比が2.22のタングステン探針を作成することができた。次に、探針の表面酸化による観察分解能、加工再現性の低下を防ぐため、酸素に対し化学的に安定なAuを真空蒸着した結果、1週間程度ではAu蒸着した探針表面の酸化によりSTM像への影響は全くなく、分解能は作成直後のタングステン探針と同等で、HOPG観察によると原子分解能を有していた。 バイアス電圧印加による表面加工においては、試料に負のバイアス電圧をかけた場合、エッチングが生じた。シリコン表面の形状変化領域でのエッチング深さの増加は、バイアス電圧の2乗に比例して増加した。このことから、形状変化は単なる機械的接触ではなく、電界の効果によるものであると結論された。また、試料に正のバイアスをかけた場合、表面変化は起らなかったが、これはシリコンがN型半導体で、整流作用による影響と思われる。形状変化した部分の物性を調べるため、I-S(トンネル電流-試料探針間距離)曲線から平均障壁高さφ_〓を計算すると、走査回数の増加に伴い、φ_〓は単調に低下した。これは形状変化した領域のシリコン原子が非常に活性で、STMの走査により大気中の酸素と反応し、薄い酸化膜の形成が進行することによる。
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