1、 放線菌の抗生物質産生制御因子の不斉合成 2位にアルキルアミド基を有する1、3-ジオール類のリパーゼによる不斉エステル交換反応では、アミド基の種類により生成するモノエステルの絶対配置が逆転することが明かとなった。すなわち、2置換アミドの場合には(S)一体が、1置換アミドノの場合には(R)一体が得られるという、これまで報告されていなかった新しい現象が見いだされた。このように、置換基を少し変えるだけで絶対配置の制御が可能と鳴った。さらに、これより(R)-ベンジロキシメチルブタノリドを合成し、このエノラートアニオンのアルキル化反応を利用して反応を利用して放線菌の抗生物質産生制御因子であるVirgiae Butanolide Cの不斉合成が達成された。 2、 パン酵母の不斉還元を利用したキラルラクトンの合成 3位にアルキル置換基を有するα、β-不飽和ブテノリド類のパン酵母還元を行ない、極めて高い光学純度を有するキラルなブタノリド類が合成された。3位にフェニルチオメチル基を有する場合は、99%eeの光学純度の(R)-3-フェニルチオメチルブタノリドが得られ、これよりテルペノイド合成のための有用なキラルC5ビルディングブロックである2-メチル-4-フェニルチオ-1-ブタノールが極めて高い光学純度で合成された。また、3位にベンジロキシメチル基を有する場合のパン酵母還元では、光学純度95%eeで、相当する(S)-3-ベンジロキシメチルブタノリドが得られ、このアルキル化反応を利用して放線菌の抗生物質生産制御因子であるFactor-1の合成が達成された。
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