研究概要 |
1、パン酵母の不斉還元を利用したキラルラクトンの合成3位にアルキル置換基を有するα、βー不飽和ブテノリド類のパン酵母還元を行ない、極めて高い光学純度を有するキラルなブタノリドが合成された。3位にフェニルチオメチル基を有する場合は、99%eeの光学純度のものが得られ、これよりテルペノイド合成のためのキラルC5ビルディングブロックが合成された。また、3位にベンジロキシメチル基を有する場合には95%ee以上で、相当するブタノリドが得られ、これよりFactor-Iの合成が達成された。 2、天然型αートコフェロール(ビタミンE)の不斉合成(2R,4'R,8'R)ーαートコフェロールをキラルなクロマン部と側鎖部に分け、それぞれをプロキラルな1、3ージオール類の酵素による不斉エステル交換反応、あるいは加水分解反応を利用して、クロマン部については67%eeで、また側鎖部については95%eeの光学純度で合成することが可能となった。 3、海綿中のフラノセスタテルペンVariabilinの不斉合成海綿中のフラノセスタテルペンで、抗菌性を有するVariabilinはこれまで合成されておらず、本研究では2つの合成経路によりその不斉合成を達成した。その中で、リパーゼによる不斉エステル交換反応を利用してC5ブロックに不斉を導入する方法では、高い光学純度の天然型Variabilinの合成が可能であることが明かとなった。 4、放線菌の抗生物質産生制御因子の不斉合成3位にアルキルアミド基を有する1、3ージオール類のリパーゼによる不斉エステル交換反応では、アミド基の種類により生成するモノエステルの絶対配置が逆転することが明かとなった。さらにこの反応を利用して放線菌の抗生物質産生制御因子であるVirgiae Butanolide Cの不斉合成が達成された。
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