本研究では、フェノール誘導体のルイス酸存在下における新しい光化学反応を見いだし、容易に得られる芳香族分子を出発物質とする斬新な炭素骨格構築法を開発した。 1.3-メトキシフェノール(1)が臭化アルミニウム存在下の光照射により、4-メトキシビシクロ[3.1.0]ヘキセノン(2)に良好な収率で変換できることをみいだした。 2.1-ナフトール(3)をハロゲン化アルミニウム存在下で光照射すると、環縮小したハロメチルインダノン(4)が良好な収率で得られることを見いだした。4は塩基と処理することによりほぼ定量的に含三員環化合物5に変換できた。 3.すでに2-ナフトール(6)がエチレンとルイス酸存在下で光[2+2]付加を行うことを見いだしているので、6と他のオレフィンやルイス酸を用いる光化学反応を行い、それらの影響について検討した。 4.1-ナフトール(3)およびその誘導体とエチレンとのルイス酸存在下における光反応は、置換基によって著しく異なることが分かった。即ち、無置換体および3-メチル体は高収率で[2+2]付加体7を与えるのに対し、2-アルキルおよび6-メトキシ置換体の場合、環縮小したインデノン構造をもつ付加体8が主生成物として得られることをみいだした。
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