研究概要 |
本研究では選択的光付加反応を開発して、必要な立体配置に置換基をもつシクロブタン部を調製しまたこれを誘導し、次いでアデニンやチミン等の核酸塩基(Base)とNー結合する。これによりAIDS等の抗ウィルス活性や抗腫瘍活性が期待される新規炭素四員環ヌクレオシドを開発する。先ず初年度に次のことを行った。 1.ヘテロシクロヘキサジエノンの1つ、2ーピロン体とアクリル酸エステル等のエチレン置換体との間の、光増感反応による付加位置、配向および立体選択的炭素四員環形成反応等を解析した。2ーピロン体の3,4位は電子供与性基をもつエチレン置換体と、またその5,6位は電子求引性基をもつエチレン置換体と各々配向特異的にシクロブタン生成反応を起こし、これらは励起三重項ピロンからのフロンティア相互作用効果によると推定された(BCSJ,65(1992.2))。 2.2ーピリドンの選択的光シクロブタン形成反応についても解析したが、その生成は異なる励起種および相互作用効果による(日化秋季,1991.9)。 3.1,3ージオキシンー4ーオンとエチレン置換体との光反応で望ましい付加配向の炭素四員環化合物を得た。しかし目下誘導反応に成功していない。マレイミドとNービニルアセトアミド等との光四員環反応に成功していない。マレイミドとNービニルアセトアミド等との光四員環反応の条件を明らかにした。この場合立体的に望ましいシクロブタンが得られた。それをMO法を用いて解析した。この誘導反応についても述べる(日化春季,1992・3予定)。 4.アデニンやチミン等と4の誘導による三置換シクロブタン体との縮合反応で炭素四員環をもつ核酸アナログを合成する。なお炭素五員環とアデニン等との反応も別に行っており、一応の成功および抗腫瘍活性等のデ-タを得ている。今後の展開の目安となる。
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