研究概要 |
1)ニンニク精由成分中の抗血小板作用成分メチルアリルトリスルフィド(MATS)の生体内代謝:MATSはin vitro,in vivoにおいて血小板の凝集能を減弱ないしは消矢させることを,我々は既に認め報告してきた。しかし,その代謝回転については未だ明らかにされていない。本研究ではその点を究明すべく放射性MATS(^<35>SーMATS)をトレ-サ-として用い,家兎への投与,家兎血小板浮遊液への添加などを行って,トレ-サ-の生体内分布,消長などを明らかにした。^<35>SーMATSは胃内投与後直ちに血中に出現し,5分後にはピ-クに達し,以後漸減した(t1/2≒30min)。血小板オルガネラヘの分布は膜画分に90%,ミトコンドリア,ミクロソ-ム,サイトゾルには極めて僅かであった。 2)ニンニク,無臭ニンニク中の揮発性成分および酵素の性状:ニンニク精油中の揮発性成分に抗血小板作用が顕著に認められることは既に明らかにされている。最近,市井に「無臭」と命名されたニンニクあるいはその製品が出回っている。ここでは,8種類の「無臭」製品について,精油中の揮発成分の分析を行うとともに,臭い成分発生に関与する酵素アリイナ-ゼの活性および性質等について比較検討した。無臭ニンニクにはニンニクを低臭化処理したものと天然で無臭のものとが存在することが分った。前者の揮発性成分はニンニクと同様の組成であったが,含有量は4〜50%まで分散していた。後者に相当するものは2種類みられニンニクとは全く異なりタマネギに近似した組成を示した。成分量は,200%と10%(対ニンニク比)と大差がみられた。アリイナ-ゼの活性は低臭化製品間で大差があり,ニンニクとほヾ同じものから,その1/10のものなどがあり,処理法が種々異なることが推察された。
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