昆布類から抽出されたアルギン酸塩水溶液のレオロジー解析を行い、ゲル化の機構を解明した。本研究では、D-マンヌウロン酸およびL-グルロン酸の量比が異なる三種類のアルギン酸(各々分子量124.000)ナトリウムを使用した。アルギン酸水溶液にCaCl_2を添加すると、沈澱が生じた。これは、Ca^2とカルボキシル基間に分子鎖内および分子鎖間イオン結合が形成されたことによるものである。従って、適度のゲルを調製する為にCaCl_2に加え、NaClおよびkClを加えた。アルギン酸塩のゲル化には、水素結合も関与することが解った。分子鎖内および分子鎖間イオンおよび水素結合の様式は、以前に提出したι-カラギーナン、ジェランガム、およびキサンタンガムのそれらから容易に結論出来た。この多糖でも、分子鎖内水素結合およびイオン結合(カルシウムが関与する)が優先的に形成され、その後分子鎖間Ca架橋が形成されることが解った。 Alcaligenesの生成するカードランについてレオロジー解析を行い、ゲル化の機構を解明した。この多糖は、まずC-4のOH基と隣接するグルコース残基のヘミアセタール酸素との間に分子鎖内水素結合が形成されることが解った。この水素結合は、個体の状態で在存しミキサーにより撹拌溶解する過程でも存在することが解った。分子鎖間結合は溶解(55℃)後、温度を低下させる過程で、主鎖のコンフォメーションが伸びた状態から、収縮する過程で分子鎖の異なるグルコース残基のC-6のOH基間で形成(水素結合)される可能性が示唆された。この結合は、温度の上昇に伴った50℃まで安定であるが、それ以上の温度で急激に減少する。すなわち、転移温度(50℃)が認められた。その後温度を上昇させると、65℃から逆に動的弾性率が増大した。これは、疎水結合が分子鎖の異なるグルコース残基のC-6のCH_2間に形成されたことによるものと、結論した。
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