研究概要 |
本研究は、作業道用の木構造物たとえば,土留工,擁壁工などに間伐材の積極的な活明を目的としており,使用された丸太の時間的,使用条件的な耐久性について知っておくことが重要な課題となる。こうした視点から,木構造物の丸太の経時的な材貭強度の変化を調べることを前提に,実験的モデルを先行的に作設し,すでに実験への準備をすすめてきた。 本年はモデル構造物から、2年目を迎えるヒノキ間伐丸太が実験に使用できたことから、耐久試験用の丸太を初期計画に沿って引き拔き,これらの丸太から、(1)、ブリネル硬さ試験,(2),横圧縮試験,(3),曲げ強度試験など3試験を実施し、それぞれの強度測定を行った。一方,モデルの作設時に切り取ったヒノキ丸太の最初の材貭強度は,今後の比較基準値として計測しておいたので,これと1年経過した丸太との比較により、材貭の変化について調査することができた。 以上のことから、次のことが判明した。(1)、ヒノキ丸太の辺材部では、若干の数値変動があったが,1年の経過で劣化を示すものとはならなかった。(2)、心材部ではほとんど基準値との間に変化がみられず、劣化が生じていないことが判った。(3),辺材,心材を含めた丸太全体としての結果は,統計処理の結果材貭劣化を生じていないと判定できた。(4),しかし,いくつかの丸太の辺材部にシロアリによる被害の影響が見られ,今後この変化については注目していくことが必要であると思われた。 なお,平成4年1月下旬にヒノキ間伐材による新たなモデル実験区を作設し,今後の調査に向けてより多くの現場サイドのデ-タがとれるように務めた。
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