本研究は、高能率伐出作業機械導入を前提とした森林作業における精神的負担を取入れた作業評価を行ったものである。すなわち初年度においては、身体部位の動きをワークサンプリングによる時点観測・心拍数・フリッカー値・運動諸機能検査・疲労自覚症状調査ならびにストレス感調査・作業出来高量調査等に基づき、身体負担と精神的負担とを同時に測定できる新たな負担評価法を作成した。 次年度においては、森林作業から誘発されるストレス感と身体負担感による作業負担評価法の検討、高性能伐出作業機械による作業分析、林業経営者ならびに林業作業者による高性能伐出作業機械に対する意識調査を実施した。これらの分析結果より、森林作業から誘発されるストレス感は、主成分分析の結果より、ストレス感の定量的な把握が可能であること、および身体的な作業負担は、疲労自覚症状調査項目のI群ならびにIII群で身体的な作業負担評価が可能であることが明らかになった。また、各種高能率伐出作業機械を対象に要素作業毎に時間観測ならびに動作解析を行い、直接作業効率に係わる要素作業群と次の要素作業の前作業としてのオペレータが考えながら実行している要素作業群に分かれること等が明らかとなった。さらに林業経営者は、林業機械の開発に期待を寄せており、経営者全体の42%がプロセッサやタワーヤーダ等の高性能林業機械導入を考えている。しかし一方では、後継者不足や労働力の減少と高齢化に悩まされ、オペレータの養成を如何に行うかと言う現状が浮き彫りにされた。また、林業作業従事者は、長時間の座位姿勢での機械作業の結果、肩や腰等の局所的痛みや慢性的な疲労感せ訴えており、レバーの位置やボタンの配置を再考の余地があること等が示唆された。
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