研究概要 |
模型法面(現有装置)と間隙水圧測定装置(平成3年度設備備品)を用いて,浸透水による内部侵食と間隙閉塞による土壌構造の変化を調べた。従来の研究によると間隙に富む砂質土壌において内部侵食が進むため,粗砂を多く含む供試土を模型法面に充填した。法肩3cm深さに有孔パイプを埋設して浸透水を流した。浸透に伴う土壌中の水圧変動を調べて,浸透水の流量や懸濁濃度を経時的に測定した。また一定時間の浸透後に不撹乱土を採取して,粒径分布や間隙率などの土壌の理工学特性を調べた。 一定時間の浸透後における法先の粘土百分率は法肩を上回る傾向があった。浸透水によって粘土粒子が移動して,土壌構造の変化が進んだと推定した。またこれらの間隙中における微構造の変化を間隙率で捕らえることは難しかった。 平成3年度には花崗岩風化土における土壌透水性の経時的変動に関する実験を行った。土壌透水性が経時的に低下した供試土の閉塞過程について、懸濁粒子が間隙狭窄部で瞬時閉塞を生じて一定時間後に沈降・付着したと判断した。土壌懸濁液の瞬時閉塞機構を調べるために,背圧式飽和透水試験装置(現有装置)を用いて土壌懸濁液の浸透流量における濃度依存性を調べて,瞬時的な閉塞機構をレオロジー的に検討した。 土壌懸濁液による浸透実験の結果は,土壌懸濁液に存在する栓流(速度勾配を生じないで滑る部分)の半径が間隙半径を上回ると瞬時閉塞が生じると考えた計算結果にほぼ一致した。
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