研究概要 |
新鮮鶏卵白中の濃厚卵白より,従来の方法によって超遠心分離して粘性の高いゲル状部分を分画し,これを2%KClにて洗浄して不溶型オボムチンを調製した。これを0.01Mー2ーメチルカプトエタノ-ル10.25M炭酸緩衝液(pH9.6)で可溶化して可溶型オボムチンとし,続いて,このものをpH4.0として得られる沈殿物を分画する操作を数回繰り返えすといったβーオボムチン簡便調製方法をまず確立した。このβオボムチンをペプシン,プロナ-ゼ,あるいはトリプシンなどの蛋白質分解酵素によって分解し,それぞれの水溶性分解生成物を得た。これらの試料を,βーオボムチンを対照として培養腫瘍細胞に対する傷害作用を測定した結 果,トリプシンによって限定分解したものが一番活性が高いと認めた。このものの分子量は約20000のものを中心として2〜3種の糖ペプタイドが存在した。これらをセファデックスGー100を用いて分画し,それぞれを分離して活性を測定したところ,前述の分子量約20000のものに抗腫瘍活性が認められた。糖/蛋白質の比は,βーオボムチンのものより高く,また,分離ペプタイドよりアルカリ処理して糖鎖を遊離させると活性がほとんど消失したことより,糖鎖が活性発現に大きく寄与していると判明した。次に,遊離させた糖鎖の主要区分をシアル酸に対するアフィニティクロマトグラフィ-およびゲルロ過によって精製した。この試料の糖組成を2MTFAにて6時間加水分解後,PMP誘導体としてHPLCにて測定した。マンノ-ス,Nーアセチルグルコサミン,Nーアセチルガラクトサミン,ガラクト-ス,フコ-スとシアル酸のそれぞれのモル%は8.4,11.8,18.7,44.6,6.9と分析した。現在,この糖鎖の配列について解析中である。
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