研究課題/領域番号 |
03807012
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10056070)
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研究分担者 |
矢田 俊彦 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60166527)
中河 志朗 鹿児島大学, 医学部, 教授 (70073666)
小林 圭子 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70108869)
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キーワード | アルギニノコハク酸 / アルギニノコハク酸合成酵素 / アルギニノコハク酸リアーゼ / アルギニン / 一酸化ちっ素(NO) / 神経細胞 |
研究概要 |
我々は、尿素合成系及びアルギニン合成系の中間体であるアルギニノコハク酸(AS)が神経伝達物質、またはそれに類する調節因子として働いている可能性を、その合成と分解を司る酵素、アルギニノコハク酸合成酵素(ASS)とアルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)、の脳内分布の検討から見い出した。昨年は脳以外の神経組織でのASSの分布を検討し、生化学的にはASS活性の低い腸管にも粘膜下層の神経叢のみに局在することを明らかにしたが、今年は以下のような研究を行い、ASの神経系調節因子としての可能性を追及した。(1)ASSの局在をより特異的、詳細に検討する目的で、モノクローナル抗体の作成を試み、特異的な抗体を得ることができた。しかし残念ながら、その活性は低く、免疫組織化学への使用に耐える抗体ではなかった。(2)組織学的にASSが存在した膵臓ランゲルハンス島でのASの生理学的役割を、グルコースによるインスリン分泌促進へのASの効果を細胞内カルシウムイオンをfura-2で追跡する方法で検討したが、ASは10^<11>〜10^5Mの濃度で特別な作用を示さなかった。(3)ASSの局在と、NO合成酵素と同義といわれるNADPHデヒドロゲナーゼ(ND)の局在を組織化学的に調ベた。脳線状体では、ASS陽性細胞とND活性陽性細胞とは形態学的に区別されること、膵臓の神経細胞ではASS陽性細胞はすベてND活性陽性であることが明らかとなった。このことはふたつの組織でのASSの役割が異なる事、すなわち、膵臓でのASSはNO合成の基質となるアルギニンを供給している可能性があるが、線状体では、以前の報告のようにASS陽性細胞はASL陰性であること、すなわちシトルリン→アルギニンの反応を行っていないことと一致して、NO産生とは直接の関連がないことがさらに示唆された。
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