研究課題/領域番号 |
03807025
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
岩本 義久 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (60046290)
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研究分担者 |
福長 将仁 福山大学, 薬学部, 教授 (20132483)
増沢 俊幸 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (10181645)
柳原 保武 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (30046255)
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キーワード | Borrelia burgdorferi / ライム・ボレリア症 / 単クロ-ン抗体 / 抗原構造 / シュルツェマダニ / ヤマトマダニ / Ixodes persulcatus / Ixodes ovatus |
研究概要 |
静岡県下におけるライム病媒介マダニの棲息分布を調査したところ、井川高原ではヤマトマダニ(Ixodes ovatus)が、南アルプスの奥大井ではヤマトマダニのほかシュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)が採取された。また、富士山の高所では主にシュルツェマダニが、高度の低いところではヤマトマダニが採取され、高度による媒介マダニの住み分けが認められた。富士山では5月にシュルツェマダニ分幼虫、若虫、成虫の3世代が同時に採取された。媒介マダニのボレリア保有率を調べたところ、シュルツェマダニで9.5%、ヤマトマダニで13.4%であった。今後の課題は病原体保有動物と媒介マダニの生態、生活環、ヒト感染との関係を解明することである。 日本で分離されたライム病病原体Borrelia burgdorferiの抗原構造を欧米分離株と比較するためアメリカ株、ドイツ株およびヤマトマダニ、シュルツェマダニ由来日本株に対する単クロ-ン抗体26種類を調製し、イムノブロット法における反応性を調べた。単クロ-ン抗体O144laはボレリア属共通の41KDa鞭毛抗原を、P1366は生物種共通の66KDa熱ショック蛋白質抗原を認識していることが明らかとなった。30KDaのOsp A抗原を認識する単クロ-ン抗体O1430、H5332、U31bやE31、ヤマトマダニ由来のB.burgdorferiの鞭毛抗原と強く反応するO1441b、27KDa抗原を認識するP1327やOsp Bを認識するE34b、H68などを使って抗原構造解析を行い、日本分離B.burgdorferiが7グル-プ、欧米分離株が5グル-プに分けられた。日本のヤマトマダニ由来のB.burgdorferiの抗原構造は分離地域に関係なく均一で1つのグル-プにまとめられたのにたいし、シュルツェマダニ由来B.burgdorferiは不均一で、多価ワクチン開発の開発の必要性を示唆した。また、Osp A遺伝子は不安定であるので遺伝子増幅法(PCR)による診断には鞭毛遺伝子が有用であると思われた。
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