研究概要 |
クラスIb分子は古典的移植抗原(Hー2K,D,HLAーA,B)と構造的に類似しており、B_2ミクログロブリンを非共有給合する一群の分子を総称するが、移植の標的抗原とはならずその機能的役割は未だほとんど解明されていない。我々は機能的に重要な分子は進化の過程では保存されるという視点に立ち、クラスI遺伝子のクロ-ニングがほとんどされていないラットにおけるクラスIb及びクラスI遺伝子の解析を行なった。第一のアプロ-チはラット胸腺からcDNAライブラリ-を作成し、マウスHー2プロ-ブでスクリ-ニングし、48個のcDNAクロ-ンを得た。クラスIはa3ドメインをコ-ドするエクソン4がきわめてホモロジ-を示すため、上記プロ-ブでクラスIとクラスIbの両者が検出される。現在クラスI遺伝子間で最もシ-クエンスのホモロジ-が低い膜通過ドメインをコ-ドするエクソン5の塩基配列を決定し、古典的移植抗原を決定し、古典的移植抗原とそれ以外のクラスIbに分類するという作業を行なっている。この方法により、古典的移植抗原と比較的ホモロジ-の高いクラスIbを同定できる。第2のアプロ-チはクラスIbの代表として、マウスTL(T18^d)、ヒトCD1遺伝子の特異的プロ-グを用いて、ラットゲノムにおける両遺伝子の有無を検討した。両者とも相同遺伝子が各々3個と2個存在した。現在TL相同遺伝子はラット遺伝子ライブラリ-から 、9個のクロ-ンを単離し、塩基配列を決定中である。またCD1相同遺伝子はラットT細胞性白血病細胞株から作成したcDNAライブラリ-をスクリ-ニングし、10個の陽性クロ-ンを得た所である。 次年度は、上記遺伝子及びcDNAクロ-ンの塩基配列を決定し、どの位の種類のクラスI遺伝子が発現しているのか、また、どのような組織・細胞に発現しているかについて、特異的プライマ-を用いたRTーPCR法により検討する予定である。
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