研究概要 |
すでに報告してように母乳栄養児では人工栄養児よりも離乳期貧血の発生頻度が高い。本研究では乳児2000人を対象として栄養法別にHb,血清Feとフェリテンを測定し栄養調査を行なった。ヘモグロビン濃度と成長、罹病状況との関係についても調査を行ない以下のような結果を得た。 1.表1に示すように乳児期後半における母乳栄養児の平均Hb値,血清フェリチン値は人工栄養児より低い。しかし血清Feにはその傾向がみられなかった。 離乳遅延の乳児の割合は栄養法別に差がみられなかった。 2.ヘモグロビン濃度別身長,体重,Kaup指数は各群で差がみられなかった。しかし急性上気道炎の発生頻度は表2に示すように、Hb11.08/dl以下で高くなっていた。 貧血の基準値は,栄養法を考慮した各群のー2SD値以下とするとかなりの差が生じてくるので、保健指導の場では11.08/dlを採用するのがよいと考えられる。貧血予備群のスクリ-ニングにはフェリチン測定が有用であると考えられる。
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