研究概要 |
1.本年度は昨年度に引き続き,O-2Aがグリア細胞株L3のT細胞増殖活性を阻害するマウス・モノクローナル抗体の樹立を試みた。L3に反応するクローンを数種類得たが,T細胞増殖阻害活性を持つものは得られなかった。それと平行してL3細胞のin vitroおよびin vivoでのフェノタイプの解析を継続した。in vitroでの解析にはflow cytometry (FACStar plus)の導入を試み,その有用性を確認し報告した。L3細胞はin vitroではオリゴデンドロサイトのマーカーであるO4,HNK-1のみならず,アストロサイトのマーカーglial fibnllary acidic protein (GFAP)を同時に発現していた。細胞株L3をまず蛍光色素PKH26で標識してから,同系Lewisラット,およびミエソン塩基性蛋白を欠損するShivererマウスの脳内に移植した。経時的な病理学的検索の結果,移植されたL3細胞(PKH26陽性)はin vivoでは成熟オリゴのマーカーであるガラクトセレブロシドを発現していたがGFAPの発現はまったくみられなかった。このことはL3細胞株がオリゴデンドロサイトの前駆細胞であることを意味し,in vivoでのtype-2アストロサイトの存在に疑問を提起する。この重要な成果は,米国サン・ディエゴで開かれたAmerican Academy of Neurologyの年次総会で発表した。 2.オリゴデンドログリア(O-2A)が免疫系と相互作用を行なう系として,熱ショックタンパクCheat shock protein,HSP)の発現を介する反応が示唆されているが,我々はHSP72の発現を一次培養オリゴ,およびL3細胞株においてはじめて証明し,発表した。
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