研究概要 |
主任研究者が米国で開発した、CKのMM isoformのFPLC systemによる短時間分離の可能性と、臨床応用を探る研究である。まず今年度はFPLC用のLarge columm,Small colummを購入し、主任研究者の開発した同一方法で分離能と再現能をみた。更に動物での心筋梗塞及び再潅流によるモデルを作成し、これがCKの分離に適した実験系であり、術操作がこのCKに影響しないかどうかを基礎的に検討した。更に梗塞サイズ計測、心機能、そして虚血の範囲の確認など、このモデルのCKーMM isoformの分離後に、比較検討できる項目についての確認をおこなった。今年度は、目的にかなう直接のデ-タは得られていないが、確認されたことは以下の如くである。すなわち、1)Large colum,Small columは有効にCK isoformを分離、可動することが判明したが、MM1,MM2,MM3の確認には、各々の単離した純粋isoformを得て、その分離の速さと再回収率の関係をチェックせねばならない。2)注射などの影響がCKに及ぶために、術操作後2時間はCKをフォロ-する必要があった。3)実験的に梗塞サイズはTTC染色で、虚血はEvans blueと壁運動異常で、更に心筋梗塞を ^<99m>Tcで確認できるということが判明したが、梗塞については ^<99m>Tc uptakeには注意を要し、壁運動異常のみの出るstunningだけでも ^<99m>Tcを取り込む。更にこのことを、CK isoformの放出との関係でみることは、たいへん興味深い。故に虚血時間によってはCKの少量放出で、梗塞ができずにstunningに終わることもあり、CKを梗塞の表現とすることには注意を要する。故にreperfusion後の少量のCK、あるいはCKーisoformの確認は、短期再潅流による心筋障害の微妙な変化を追究できる可能性を残すものとして興味深いと思われた。臨床応用については、PTCAによる早期再潅流モデル、短期再閉塞モデルが使えるため、CK isoformー分離systemの完成により、dataは容易に得られると考えられる。
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