研究課題/領域番号 |
03807055
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神原 啓文 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50109005)
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研究分担者 |
野原 隆司 京都大学, 医学部・第3内科, 助手 (80180769)
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キーワード | Myocardial stunning / 心筋梗塞症 / 心筋虚血 / ^<18>ーFDGポジトロン / diltiazem / ^<123>IーMIBG(metaiodoーbenzylーguanidine) / ^<99m>TcーPYP(pyrophosphate) / ^<123>IーBMIPP(betaーmethyliodophenyl pentadecanoic acid) |
研究概要 |
急性心筋梗塞に再潅流療法を施行後、心筋の機能回復が血流改善より遅れる現象を“stunning"と称する。 1.Stunningと遊離Ca 梗塞心筋は ^<99m>TcーPYP(pyrophosphate)を急性期に投与し描出できる。犬冠動脈の30分間結紮後に再潅流、その2時間後に ^<99m>TcーPYP、 ^<201>TI心筋イメ-ジングおよび心筋組織摂取カウントの測定を行うと、 ^<201>TI摂取は正常に回復しているが心機能は低下しており、その部位の ^<99m>TcーPYPの取り込みは増加していた。Ca拮抗薬のdiltiazemを、結紮前あるいは再潅流時から持続投与すると、心機能の回復は速やかで ^<99m>TcーPYPの摂取が抑制された。 2.Stunningと交感神経 Stunningにおける交感神経の役割を知るために ^<123>IーMIBG(metaiodoーbenzylーguanidine)が用いられるが、実験的に、 ^<123>IーMIBGの心筋摂取カウントは心筋内カテコラミン含有量とほぼ比例することが判った。Stunningにおいては、 ^<123>IーMIBGの濃度は減少せず、心筋梗塞を生じる高度虚血になってはじめて ^<123>IーMIBGの組織カウントが減少した。すなわち、stunningではシナプス前の交感神経末端のカテコラミン取り込み能は減少しておらず、梗塞のような強度虚血で減少、壁運動と相関した。 3.Stunningにみる脂質代謝と糖代謝 犬モデルで、 ^<123>IーBMIPP(betaーmethyliodophenl pentadecanoic acid)と心筋血流および局所壁運動解析の結果、心筋血流はほぼ回復していても ^<123>IーBMIPPでみられる脂質代謝は平均80%と、有意に低下していた。また、 ^<18>Fーfluorodeoxy glucose(FDG)ポジトロンで糖代謝をみると、心筋血流の回復した状態においてもかなり長期間にわたり糖代謝が亢進していた(metabolic stunning)。 以上、stunningは各種の心筋代謝異常を示し、Ca拮抗薬でその予防が可能であった。
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