研究概要 |
心筋症の発生において細胞外マトリックス(ECM)がどのように変化し、又、心筋症の形成に関与しているのか充分に解明されていない。本研究では、ECMは細胞内情報伝、系に重要な役割を担っているとされていることから、心筋症発症ハムスタ-のECMについて組織学的かつ分子生物学的手法を用いて検討した。心筋症ハムスタ-としてBioー14.6およびBio53.58の5週齢および30週齢を用いた。対照としてF_1Bを用い比較した。免疫組織学的検討ではコラ-ゲンタイプ(I),(III)およびフィブロネクチン(FN)の各々のポリクロ-ナル抗体を用いた。組織学的にはHEおよびMasson染色法で検討した。又、各々モデル動物の心臓よりRNAを抽出しコラ-ゲンFNに対するcDNAを用いてノ-ザンブロトVmRNAの発現を検討した。その結果、Bio系の両モデル共に蔽在性に炎症細胞の浸潤と心筋壊死並びに石灰化巣を認めたが,両者の差は認めなかった。免疫組織学的にはBio14.6,53.58の両モデルにコラ-ゲンTypeIIIの沈着を認めた。一方コラ-ゲンTypeIは血管周囲に強く認めたがF_1Bとの差はなかった。mRNAの発現は5週齢では変化なかったが、20週齢ではコラ-ゲンα_2(I)とα_1(III)の発現を両心筋モデルに認めた。以上の結果より、心筋症ハムスタ-の細胞外マトリックスはコラ-ゲおよびフイブロネクチンに変らかな変化を認めることが出来た。今后、蛋白レベルの増加とその防御効果に対する影響を検討する計画である。
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