1.2ーデオキシー2ーフルオローDーガラクト-ス(FDGal)のNMRによる動態追跡法を検討し、複数情報の収集法を確立した。(1)FDGalからFDGalー1ーリン酸への変化(過程1、ガラクトキナ-ゼが触媒)の定量には摘出臓器の溶媒抽出を必要とする。(2)FDGalー1ーPからUDPーFDGalへの変化(過程2、ホスホガラクト-スウリジリルトランスフェラ-ゼ)は高磁場で ^1H照射の条件で無侵襲追跡できる。(3)UDPーFDGalからUDPーFDG(FDGal群から7ppmも離れている)への変化(過程3、エピメラ-ゼ)は低磁場でin vivo追跡可能である。 2.薬物(四塩化炭素)による活臓障害では、FDGalの肝臓集積が大幅に低下した。また、過程2、3への影響は少ないものの、これらの相乗的効果の結果としてUDPーFDGの生成量は顕著な減少を示した。 3.In vivo測定に必須である動物の麻酔の効果を検討した。麻酔による低体温状態での実験ではFDGalの初期集積には影響はないが、以後の動態には著しい遅延が認められた。FDGについて既に報告しているように、これは酵素活性の変化と考えられる。能能診断上この点に関して十分な注意が必要であることが示された。 4.FDGalの肝臓集積率の投与量依存をゼロ外挿すると ^<18>Fを用いた実験結果と一致する。また、NMRパラメ-タによる四塩化炭素肝臓障害の診断は大量投与においてより明確に実行できることが示された。 5.本課題で以下のことが結論できた。(1)FDGalーNMR法で肝臓機能の障害を検出し、病態の質的検討を行う可能性が示された。(2)NMRにおける大量投与が酵素活性の変化をより的確に表現する可能性を示した。(3)UDPーFDGの生成は機能を鋭敏に表現する。この物質のNMR信号は投与物質から7ppmも離れており、NMR化学シフト画像用信号としても適している。本法の将来性は大きく、今後も鋭意検討されるべきである。
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