研究概要 |
平成3年度において、申請者は以下の研究結果を得た。 1.desipramineやmaprotilineのようなノルアドレナリン(NA)再取込阻害作用の強い抗うつ薬と同様に、再取込阻害作用のほとんどないmianserinも大脳皮質のカテコ-ルアミン線維の再生効果を有することを実験的に示めした(NeuroReport,2:525ー528,1991;Prog Brain Res.88:587ー598,1991)。 2.NAの再取込作用は無いがセロトニンの再取込作用の強いfluoxetineには、カテコ-ルアミン線維の再生効果を認めなかった(Neuro Report,2:525ー528,1991)。 以上の結果から,次のような示唆を得ることができた。mianserineは、品質ノルアドレナリン性線維終末に存在するαzーアドレナリン性受容体を阻害することにより神経終末部でのNA量を増大させることがわかっている。従って、NAの再取込作用のある抗うつ薬とfluoxetineの結果を考慮すると、抗うつ薬による皮質カテコ-ルアミン線維の再生には、少くとも、神経終末部でのNA量の増大が重要な役割を果している可能性がある。
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