研究概要 |
本研究では導電性ゴムチュ-ブの電気抵抗を応用した歪ゲ-ジトランスデュ-サ(strain gage transducer)を作成し,パソコンと連動した消化管運動測定システムを開発することを目的とした。そこで本年度は主として食道に直接装着するstrain gageの試作・検討を行った。プリアンプ(FSー04M[STAR MEDICAL])は市販の動物実験用の消化管収縮力測定装置で,専用ブリッジボックスやフォ-ストランスデュ-サなどほぼ完成されたシステムの一部である。装置がコンパクトであるため本システムに採用したが、ブリッジボックスは自作して、試作したトランスデュ-サに適合させた。一方、strain gageの材質として用いた導電性ゴムチュ-ブを生体に装着するに当たっては絶縁が必要である。このために導電性ゴムチュ-ブをゴムあるいはシリコンを用いてコ-ティングする必要性も生じ、このことがstrain gageの特性を変化させることにもなり、測定の煩雑さを招くことが解った。そこで、これらのゴムチュ-ブやシリコンチュ-ブなどの非導電性の材料による細口径チュ-ブで作成したstrain gageの可能性もでてきた。 自家腸管遊離移植による食道再建犬モデルを用いた検討は、今年度はX線透視ビデオを用いた食道運動機能の解析を行った。臨床的に経過の良好なものは呼吸運動に伴った移植腸管の拡大がみられた。一方、機能不全のみられるものでは、この拡大がみられず本来の腸管の蠕動運動のみが造影剤の通過に作用していた。(第11回日本小児マイクロサ-ジャリ-研究会にて発表、[犬における自家腸管遊離移植による食道再建術ー術後長期生存例の検討ー])この結果より食道運動を捉えるためには、食道と呼吸運動の同時計測の必要性も示唆され、消化管運動測定システムのなかに組み込む予定である。
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