研究課題/領域番号 |
03807080
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
市川 徹 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (70142338)
|
研究分担者 |
宮本 勝也 広島大学, 医学部附属病院, 医員
児玉 節 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (20161945)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
キーワード | 肝硬変 / 肺高血圧症 / 四塩化炭素 / Dimethylnitrosamine / 門脈下大静脈シャント |
研究概要 |
門脈圧亢進症、特に肝硬変症において肺高血圧症が合併しやすい事が報告されており、その機序として本来は肝臓で代謝されるべき体液性因子が直接肺に作用するためであるとする仮説が報告されている。門脈下大静脈吻合を施行した正常肝モデルにおいて肺高血圧症類似の病変が惹起され、その程度は肝外性の遠肝性側副血行の発達度に相関するという実験的報告はある。一方、臨床的には肝障害を伴った門脈圧亢進症で肺高血圧症が合併しやすい事も周知の事実である。しかるに現在まで肝障害モデルにおいて肺血管病変を検討した報告はない。そこで肝硬変症における肺血管病変を検討する目的で、まず四塩化炭素肝障害ラットを作製し、右室収縮期圧(RVSP)、肺小動脈の組織学的検討、門脈下大静脈シャント率(S率)、肝機能検査について検討した。RVSPは有意に上昇し、組織学的にも中膜および内膜の肥厚を認め肺高血圧症類似の病変が惹起された。門脈下大静脈吻合を施行したラットにおいても同様に肺高血圧症類似の病変が惹起されたが、両群を比較するとRVSPは肝障害ラットの方が有意に高いのに対して、S率は逆に肝障害ラットの方が有意に低く、肝障害モデルにおいては、肺高血圧症類似の病変の進行度は遠肝性側副血行の発達度のみでは説明できなかった。次にdimetyl-nitrosamineにて肝障害ラットを作製し、肝障害の進行度別に肺血管病変の程度を比較した。高度肝障害ラットにおいては、中等度肝障害ラットよりRVSPは有意に高く、又血液学的な肝障害の程度とRVSPは相関関係を認めた事より、肝障害の進行に基づいて肺高血圧症類似の病変は進行すると推察された。以上より肝硬変症における肺高血圧症発症の機序に関しては肝外性の遠肝性側副血行だけでなく、肝食細胞の機能低下や肝内シャント等の肝臓自身の網内系としての機能低下が関与している事が示唆された。
|