研究概要 |
1.食道癌培養細胞株HPLーEsCー1ーK,ーS,ーMは、ヌ-ドマウスの皮下に移植すると自然発症の局所リンパ節転移を起こすが、その転移率は各々60%,80%,40%と異なる。これらの細胞をフィブロネクチン5μg/cm^2あるいはラミニン2.5μg/cm^2でコ-ティングしたシャ-レに接種し、1.5および3時間後の接着細胞数を位相差顕微鏡下にカウントした。その結果、EsCーKではEsCーMの7倍、EsCーSではEsCーMの10倍の細胞がシャ-レに接着しており、リンパ節転移率と正の相関が認められた。 2.又-ドマウス可移植性食道癌株6株と培養細胞株3株の、上皮性増殖因子レセプタ-を測定したところ、それぞれ3株と2株においてレセプタ-は陽性であった。各々の株において上皮性増殖因子による腫瘍増殖に対する影響を見たが、抑制効果はなかった。 3.腫瘍をヌ-ドマウスの足蹠に移植後、1,2,3および4週目に腫瘍を切除し、5週目に全例屠殺し、局所リンパ節転移を組織学的に検索した。その結果、1、2、3週目切除群のリンパ節転移率は各々、0/5,1/5,0/5であったのに対し、4週目切除群のそれは4/5であり、組織学的にも最も進展した転移巣が認められた。リンパ節転移成立までに4週間程度の準備期間が必要であり、進展した転移巣形成もその時期以降で認められた。 また、リンパ節転移の背景因子としてのNK細胞活性の影響を見るために、腫瘍を移植したヌ-ドマウスにNK細胞活性を抑制するといわれる抗アシアロGM1抗体を投与したところ、生着率の向上をもたらしたが、リンパ節転移には影響しなかった。
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