研究概要 |
平成3年度の研究で、鎖肛や胆道閉鎖症、総胆管拡張症が主要組織適合抗原系(HLA)と関連することが認められた。平成4年度にはヒルシュスプルング病と肥厚性幽門狭窄症についてHLA検査を行ったが、ヒルシュスプルング病の同胞発症の1家系で発症者に共通のハプロタイプを認めた以外は、疾患とHLAの関連はみられなかった。平成5年度は、腸回転異常症、食道閉鎖症、小腸閉鎖症などの消化管奇形についてHLA検査を行った。 対象と方法:腸回転異常症10例、食道閉鎖症9例、小腸閉鎖症6例についてリンパ球細胞毒試験によりHLA-A,-B,-C,-DR,-DQ抗原を検査した。 1.腸回転異常症:A2(70%、対照44%)とDR52(80%、対照56%)の頻度が高かった。 2.食道閉鎖症:A2(89%、対照44%)、DR4(67%、対照38%)、DR53(89%、対照63%)の頻度が高かった。 3.小腸閉鎖症:A24(83%、対照59%)の頻度が高かった。 いずれの疾患でも発現頻度の高い抗原がみられたが、症例数が少ないため統計的有意差は得られなかった。今後、これら疾患の症例数を増やして、疾患とHLAとの関連性を検討したい。
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