研究概要 |
申請者らは、マクロファ-ジブロッカ-であるカラギ-ナンをマウス腹腔内に前投与した後、微量エンドトキシンで惹起注射すると、著明な血中TNF産生とマウス致死率が亢進することを報告した。本年度は、このカラギ-ナンエンドトキシンモデルを用いて、サイクロオキシゲナ-ゼ阻害剤(インドメタシン)、リポキゲナ-ゼ阻害剤(AAー861)、ロイコトルエン受容体拮抗剤(ONOー1078)、及び血小板活性化因子(PAF)受容体拮抗剤(TCVー309)を、エンドトキシン(LPS)注射30分前に皮下注し、各々の薬剤のLPS惹起によるTNF産生と致死率に及ぼす影響について研究した。インドメタシン処置マウスでは、LPS投与による致死率を改善する事はできなかったが、AAー861,ONOー1078,TCVー309処置マウスは有意にLPSによる致死率を改善する事ができた。又、AA及びONO前処置では、LPS投与後の血中TNF活性の有意な抑制が認められなかったが、TCV前処置により血中TNF活性を、コントロ-ルマウスに比べて、有意に抑制できた。しかし、AA,ONO処置マウスでは、LPS投与後のヘマトクリット上昇、血小板減少、白血球減少を有意に改善する事が認められた。更に、このエンドトキシンショックモデルにおいてTNFがショック及び致死作用に及ぼす影響を確認する為に、抗TNF抗体をLPS投与2時間前に前投与し、LPSを惹起させると抗TNF抗体前処置により、血中TNF活性を有意に抑制し、致死率も改善できた。以上、本年度の研究結果よりカラギ-ナンモデルにおけるLPS惹起による致死作用には、TNF同様、炎症メディエ-タ-であるロイコトルエンやPAFが関与している事が明らかになった。更に、in vivoにおいて、LPS惹起によるTNF産生は、ロイコトルエンよりPAFにより調節されている事も明らかとなった。
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