下唇知覚麻痺に対し寒冷血管拡張検査を応用し、再現性が高く、客観的な検査法を確立する目的で本研究を行っているが、本年度は平成3年度において行われた研究により開発された冷却方法(チンキャップ型固定装置に65gの保冷材を添加したものを400〜450gで牽引し、30秒間冷却する。)を用いて、適切な冷却刺激が可能となった。 その結果、1)下唇の冷却はほぼ均一に19℃まで冷却が容易に可能であった。 2)Avionics社製サーマルビデオシステムT.U.S.4300MEとCCDカメラによる記録を行うことにより検査結果の分析が可能であった。 3)皮膚温の低下領域と患者の訴える知覚麻痺および異常領域がほぼ一致して観察される症例もあり、客観的評価は可能と考えられた。 4)同一患者において患者の主観的症状に変化があった際、同規格において測定を行い、客観的に比較をする事が可能であった。 5)逆転反応については、治療効果の判定の1つとして目安となる可能性が示唆された。 問題点として、1)本研究を、年間通して行ってみると周囲の環境に影響を受ける要素が多く、環境温度を一定に保つための空調設備等注意工夫が必要であった。 2)患者群のなかには顎変形が著明なものもあり、こういった症例では、固定装置の形態、保冷材の量には若干改良の必要があった。
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