研究課題/領域番号 |
03807144
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横井 毅 北海道大学, 薬学部, 助教授 (70135226)
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研究分担者 |
澤田 稔 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (30215917)
北村 龍司 北海道大学, 薬学部, 助手 (40221212)
伊東 進 北海道大学, 薬学部, 助手 (70223154)
鎌滝 哲也 北海道大学, 薬学部, 教授 (00009177)
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キーワード | チトクロ-ムPー450 / エンケファリン / 合成ペプチド / ロイシンーエンケファリン / メチオニンーエンケファリン |
研究概要 |
チトクロ-ムPー450(以下Pー450)の生体内での多様な機能の一つとして、蛋白から生理活性ペプチドへのプロセッシングの過程で関与するという仮説の基に研究を行なった。すなわち、Pー450関与のラジカル的酸化が第一ステップとなり、続いて酸化部分を目印として、プロテア-ゼ・ペプチダ-ゼが作用し、ポリペプチドの切断が起きるという可能性について検討した。生体内ポリペプチドはアルギニンまたはロイシン部分で特異的に切断される場合が多いことが知られている。本研究ではメチオニンーエンケファリン(MetーEn)、ロイシンーエンケファリン(LeuーEn)の両側2〜3アミノ酸を延長させた前駆体ポリペプチドを3種類(LeuーEn;9アミノ酸長,MetーEn;9と10アミノ酸長)合成した。これらは、アルギニン部分が認識・切断されるとエンケファリン(En)になり、生体内では主に副腎で反応が行なわれる。合成したペプチドはHPLCで精製後、アミノ酸分析で純度が95%以上であることを確認して実験に供した。牛副腎のミクロゾ-ム(Ms)や9000×g上清を用い、種々のin vitroの反応条件を検討した。分析はメタノ-ル抽出後、HPLC(capcel pack C_<18>カラム、移動相;50mMnNaH_2PO_4:アセトニトリル=88:12)を用いる方法が最適であった。内部標準は市販MetーEn,LeuーEnを用いた。in vitroでの反応の結果、MsではNADPH精製系の有無にかかわらず、Msに依存した切断(代謝)は認められなかった。一方、9000×g上清単独のみでペプチドの切断が認められた。ヒト肝Msや9000×g上清を用いた系でも、牛副腎での結果と同じであった。また、鉄イオンやアスコルビン酸の影響など、生体内の酸化還元状態を考慮した系でも検討したが、明確な結果は得られなかった。しかし、9000×g上清での代謝反応はMetーEn,LeuーEnからさらに断片化反応が容易に進行することから、in vivoでのEn産生とは異なる機構であると考えられた。前駆体ペプチドから特異的にEnを産生するための限定分解の機構は9000×g上清成分の関与とは別の機構が存在することが示唆された。今後、よりin vivoに近い実験系で詳細に検討を行なう必要があると思われる。
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