研究課題/領域番号 |
03807154
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研究機関 | 北海道薬科大学 |
研究代表者 |
吉沢 逸雄 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (80088864)
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研究分担者 |
本庄 英雄 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (30110852)
伊東 佳美 北海道薬科大学, 薬学部, 助手 (70223203)
高梨 香織 北海道薬科大学, 薬学部, 助手 (20171457)
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キーワード | エストラジオール 17-サルフェート / 2-ヒドロキシエストラジオール 17-サルフェート / 過酸化脂質 / 抗過酸化物質 / 妊娠中毒症 / 胎盤 |
研究概要 |
1.研究成果 妊娠期のestradiol17-sulfate(ES)の前駆体として、胎児胎盤系で大量に産生されるtestosterone sulfate(TS)を想定、ヒト胎盤を用いてそのESへの変換を実証した。 ESはヒト胎盤ミクロゾームによりA環の水酸化を受け、主に2-hydroxyestradiol17-sulfate(2-OH-ES)に変換されること、さらに、胎盤ミクロゾームのエストロジェン水酸化酵素に対してESは、遊離型のエストラジオールよりも基質になりやすいことも判った。 2-OH-ES前処理による、ラット肝ミクロゾーム脂質過酸化に対する影響及び四塩化炭素(CCl_4)肝障害に対する影響を調べた。その結果、ミクロゾーム及び上清両画分において、アスコルビン酸及びNADPH依存性の脂質過酸化が強く阻害された。また、CCl_4投与による肝の過酸化脂質の増加が抑えられた。 tert-ブチルヒドロペルオキシドで障害したヒト大動脈内皮細胞に対するES及び2-OH-ESの影響を調べたところ、両者はその障害を抑制、抗動脈硬化作用を示した。 2.研究の考察及び将来への展望 健康時の妊娠は、胎盤由来の過酸化脂質と、同じく胎盤由来の抗過酸化物質の量的均衡の上に成立しており、両者のバランスが何らかの理由で崩壊した時、妊娠中毒症などの疾病につながるものと考えられている。この胎盤由来の抗過酸化物質が何であるかは判っていないが、2-OH-ESがその1つである可能性を上記の結果が示唆している。今後、妊婦尿及び血清中2-OH-ESを正常及び異常妊娠の場合で測定する予定であるが、これは、2-OH-ESの妊娠期における生理的役割を明らかにするとともに、妊娠中毒症などの治療法確立の一助となるであろう。
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