研究課題/領域番号 |
03807154
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研究機関 | 北海道薬科大学 |
研究代表者 |
吉沢 逸雄 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (80088864)
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研究分担者 |
本庄 英雄 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (30110852)
伊東 佳美 北海道薬科大学, 薬学部, 助手 (70223203)
高梨 香織 北海道薬科大学, 薬学部, 助手 (20171457)
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キーワード | エストラジオール17-サルフエ ート / 2-ヒドロキシエストラジオール17-サルフエ ート / 過酸化脂質 / 抗過酸化物質 / 妊娠中毒症 / 胎盤 |
研究概要 |
1.研究の成果 Estradiol 17-sulfate(ES)はヒト胎盤ミクロゾームによりA環の水酸化を受け、2-hydroxyestradiol 17-sulfate(2-OH-ES)に変換されるので、妊婦血中あるいは尿中にその存在が認められると予想し、それらの検証を行った。 妊婦尿中2-OH-ESの測定には、ES及び2-OH-ES以外のD環抱合型エストロジェン(estradiol 17-glucuronide(EG)及びその2位カテコール体)の同時測定も目指し、HPLC/ECD法を採用した。標品の抱合型エストロジェンを用いた分離条件の検討において、2種の溶離液を駆使することにより各抱合体を良好に分けることが可能となった。このHPLC条件で健常妊婦尿を分析した結果、予想した通り、2-OH-ESの存在が確認された。さらにEGカテコールも認められた。これらカテコールの濃度は、妊娠の経過と共に増加し、分娩直前ではむしろ減少する傾向が見られた。 血中2-OH-ESのRIAを開発し、健常妊婦血清での測定を試みた。300-3000pgの範囲で良好な標準曲線が得られ、これより、妊娠36-37週における血中2-OH-ESが測定できた。 2.研究の考察及び将来への展望 妊娠中毒症は、妊娠第8カ月以後に発症することが多いが、2-OH-ESの尿中排せつ量が妊娠第8〜9にピークとなることから、2-OH-ESが妊娠期に抗過酸化物質として作用している可能性が強まったと考えられる。今後、健常妊娠での例数を増やし、傾向を確かにすることと、異常妊娠の場合の測定をする予定であるが、これは、2-OH-ESの妊娠期における生理的な役割を明らかにするとともに、妊娠中毒症などの治療法確立の一助となるであろう。
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