病院の公衆衛生的機能の発現状況を知るため、数ヶ所の病院の地域医療部門に働く看護職の役割と業務のうち、看護相談、健康教育および訪問看護関連業務に、実際どれだけ病院保健婦が従事しているかを調査した。 さらに、K県Y市で、65才以上要介護老人について、市の老人福祉課、保健予防課(行政の訪問看護を行っている)、社会福祉協議会、県保健所保健婦、病院からの訪問看護の重なり具合を調査することによって、病院からの訪問看護が地域ケア体制の中で果たす役割について検討した。このY市は南部に地域医療の充実した3病院があり、北部にはそのような地域に目をむけた病院がないため、病院の地域医療に果たす役割が検討しやすい場所である。2つの調査から、以下の知見を得た。 1.病院地域医療部門に働く保健婦は、訪問看護に関連して、『A.院内医師・看護職・ケ-スワ-カ-』のみでなく、『B.行政保健婦・福祉職・福祉施設・院外医師』との調整も行っており、BはAに比べて件数は小なかったが、一件あたりの所要時間が大きかった。 2.連絡調整の内容は“疾病・医療に関すること"の他に、“社会資源に関すること"も多かった。 3.訪問以外に電話相談・来院相談に多くの時間が必要とされていた。 4.Y市の調査は集計途上にあるが、訪問看護を行っている病院の多い南部地域の方が、北部に比べて、病院と老人福祉課・社会福祉協議会・保健所との連携が多く、患者の社会資源導入も多い傾向にあった。
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