研究概要 |
1.経口糖負荷を加味した正常血糖クランプによる肝糖代謝の非侵襲的解析: 本研究では、糖取り込み量を臓器別に非侵襲的に解析し得る手段として、経口ブドウ糖負荷を加味した正常血糖クランプを適用し、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者において、厳格な代謝管理が肝および末梢組織のインスリン抵抗性に及ぼす効果を検索せんとした。インスリン治療導入を目的として入院した経口血糖降下剤二次無効非肥満NIDDM患者9例を対象とし、強化インスリン療法により3〜4週間の厳格な代謝管理を実践し、その前後で、本手法により肝および末梢組織のインスリン刺激糖利用を分別定量した。インスリン療法により血糖管理は顕著に改善し、末梢組織の糖取り込み率に有意な変動を与えることなく、経口投与ブドウ糖量に対する比率でみた肝糖取り込み率を有意に増加させることを、実証した。 2.^<13>c標識glucoseを用いるin vivo糖代謝動態解析法の確立。 (1)基礎実験:[1-^<13>C],[2-^<13>C],[1-^<13>C],および非標識D-glucoseをTMS化TFA化し、GCMS測定により出現する各フラグメントイオンピークの分析によりフラグメントイオンの構造解析および反応機構の解析を行い、さらに主なイオンについて同位体ピーク比の安定度を検討した。その結果、TFA化は出現するフラグメントの構造、ピーク強度の点からTMS化より優れた方法であり、糖代謝動態解析に有用な誘導体化法であることを確認した。(2)動物実験:ラットを用い、無麻酔・非拘束下で^<13>C-glucoseの持続注入下、正常血糖クランプを施行しglucose fluxを計測した。その結果、TFAによる誘導体化を用いる^<13>C-glucoseトレーサ法は、ラジオアイソトープトレーサ法に替わり得る優れた手法であることを確認し得た。
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