研究概要 |
1.表面に形成された空気よりやゝ大きい屈折率をもつ物質の薄膜は光の干渉効果により、色素などの有色物質なしに呈色する可能性がある。多くのポリマ-の屈折率は1.5内外であり、容易に薄膜を形成することができる。本研究はこのような高分子薄膜による呈色効果の発現する条件を検討することを主な目的とする。平成3年度繊維学会年次大会において予備的な研究結果を発表した。 2.薄膜試料の作製 スチレンアクリル共重合物またはポリメチルメタクリレ-トの2ークロロエタノ-ル溶液を基板上に滴下して、スピンコ-タを高速回転させることによりポリマ-の拡張付着と同時に大部分の溶媒が除去されて、薄膜試料を得る。溶液濃度と回転速度の調節により膜厚210〜645nmの試料を作製した。 3.変角測色装置の組み立て コリメ-タ、非接触型色彩色差計、パソコンを用いて試料表面へ各角度から入射した平行光線による測色装置を作製した。 4.測定結果 (1)基板の種類による呈色効果 各基板上のポリマ-薄膜の呈色効果クロマ(C=(a^<*2>+b^<*2>)^<1/2>)はシリコンウエハ6.7〜52.7、鏡面仕上ステンレス4.2〜26.3、粗研摩ステンレス5.6〜22.7、不研摩ステンレス0.8〜8.7、アルミニウム板0.8〜1.8となった。(2)標準光源(D_<65>,A)下での官能検査 シリコンウエハ薄膜試料において測色結果と適合する観察結果が得られた。 (3)変角測色 薄膜試料において入射角による呈色の差異が認められた。
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