研究概要 |
2年継続の本研究費の援助が得られ、卵黄膜から2つの新規タンパク質を効率良く精製し下記の成果が得られた。 1.精製VMOIを蛋白質分解酵素で断片化し、HPLCを用い断片化物を分離精製し、全アミノ酸配列を決定した。その結果、VMOIは163個のアミノ酸残基から構成された分子量17,979の新しいタンパク質であることが分かった。CD及びDSCの解析結果からVMOIの高次構造は、一見変性蛋白質と思われる立体構造を示したが、70℃ではその構造を失い室温に戻すとVMOI本来の構造に巻き戻し、α-ヘリックスを全く含まず、これまでの蛋白質に無い新しいタイプの立体構造を持つことを確認した。また、pH4.6では67.5℃に変性の転移点を示し、S-S結合を切断すると52℃に変化すことから、S-S結合がVMOIの高次構造の安定化に寄与しているが分かった。(Biochemistry,1993に2報,投稿中)。 2.リゾチームより更に塩基性が強く、14%とシステインを際立って多く含むタンパク質を単離し、VMOIにちなみVMOIIと命名し、その性質について調べた、NATIVE-VMOIIは蛋白質分解酵素に対し低抗性を示しプロテアーゼインヒビター様の性質をもつことが示唆された。また、VMOIIは95℃まで温度をかけてもCD及びDSCパターンは変化せず、極めて熱安定性の高い高次構造をもつことが分かった。RCM-VMOIIをリジルエンドペプチターゼを中心とした蛋白質分解酵素で断片化し、全一次構造決定の条件がほぼ確立できたので、平成5年はVMOIIの全アミノ酸配列を決定し、さらにS-S結合の際立って多いVMOIIの高次構造の解析を行い、構造と熱安定性並びに機能との関係について検討する。(Biochem.J.,1992発表、さらに、成果を2報にまとめて報告の予定)。
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